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住吉市民病院 統廃合問題 第1篇 ~二重行政~

投稿日:2017年4月25日 更新日:

大阪市立住吉市民病院(住之江区)は、1950年の開業以来、大阪市南部の地域医療並びに市域全体を範囲とする小児周産期医療を担ってきた。

2011年、建物が老朽化に伴い、耐震化工事が必要であることから、大阪市は、引き続き地域医療を担う病院として必要であるとして、現地で病院を建て替える方針で進行していた。

その頃、大阪は府と市の「二重行政の解消」を旗印に、大阪都構想を掲げた松井知事、橋下市長がダブル選挙で当選。そこから住吉市民病院の未来は大きく変わることとなる。

 

当時、大阪府立病院と大阪市立病院が「二重行政」であるとして、真っ先にやり玉に挙げたのが住吉市民病院の現地建て替え問題である。

二重行政による現地建て替え反対の理由はこうだ。住吉市民病院がある地域には、近くに同じような医療を提供する府立急性期・総合医療センターがある。同じような機能があるのであれば、統合するほうが行政コストが安くて済み、結果的に機能強化につながるというわけだ。

 

確かに、当時の病院再編の試算によれば、「現地建て替え案」では、現地建て替え整備費用として57億円、運営費用として8億円の費用負担がかかるところ、「統合案」では整備費用に30億円、運営費用に3億円と費用負担が少なくて済むように見える。

 

無駄な税金を使うぐらいなら、投入する税は少ないに越したことはない。しかし、これはあくまで同様の地域医療サービスが維持できることが当然の前提だ。

また、実はこの整備費にも大きな問題がある。それは後編に述べることにしよう。

この統合案に伴う住吉市民病院廃止について、地元住民や医師会から猛反対の声が上がった。その声は、これまで住吉市民病院が担ってきた南部地域の小児周産期医療機関としての重要性を考えれば、当然のことだと誰でもすぐに理解できる。

 

それはこういうことだ。住吉市民病院は、大阪市南部地域には、もともと小児周産期医療を行う民間病院がなかった。小児周産期医療は医師の獲得が難しい、もうからない、として民間病院では採算性が合わないといわれるのが一般的だ。

「何とか地域に小児周産期医療を。」

こうして設立された病院が住吉市民病院であるというのだ。

 

それだけではない。住吉市民病院は、民間病院ではリスクが高くて手が出せない資金的に余裕がない経済的困難者や、女子中高生の妊娠など、社会的ハイリスクをかかえる市民への医療を通じた支援を行ってきた、大阪市民の最後の砦となる小児周産期病院なのであった。

 

こうした反対の声は一挙に広がりを見せ、署名活動は、日ごとに増え、住吉市民病院の存続を求める署名総数は7万人を超えることとなった。

その多くは、統合によってなお不足する地域住民による小児周産期の医療空白を懸念する心配の声だ。

この「医療空白」に対する市民の声。

 

ここで考えてみたいのは、そもそも本当にこの市と府と2つの病院に「二重行政」なるものが、果たして存在したのかということである。

「二重行政」は一般的に政令市である大阪市と大阪府の間に重なり合っている業務があり、それが行政効率、行政コストの観点で無駄を発生させているということを示すものだ。

市と府の病院に「二重行政」があるなら、「医療空白」などという問題は起こりえない。

 

ここで住吉市民病院と府立急性期総合医療センターの役割を整理したい。

 

住吉市民病院は、2次医療として地域医療と小児周産期医療に主な役割がある一方、大阪府急性期総合医療センターは、3次医療として急性期医療と高度医療に主な役割がある。2つの病院は、病院という機能自体には変わりがないが、その役割は大きく異なる。

2つの病院の役割が2重に重なっているのであれば、一方の病院がなくなっても医療空白など起こらない。しかし、「医療空白」が起きるということは、両者の役割が異なっていた、つまり「二重行政」などなかったではないかと疑問に思わざるを得ないのである。

 

「二重行政」の真実の意味、もう一度立ち止まり、深く考えてみる必要があるのではないか。

 

(大阪市会議員 前田かずひこ)

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